金融セクター紹介

保険業界にこそ、
多様な価値観・人材・サービスのコラボレーションが求められる

金融セクター パートナーWalter Poetscher

金融セクターサブリーダー パートナー青木 計憲

金融セクター パートナー垣内 啓子

金融セクター パートナーJames Littlewood

変化する金融セクター

保険業界の課題やトレンドについて、どのようにお考えですか。

青木

これまで日本の保険会社は、個人や企業の周りにある病気や事故といったさまざまなリスクに対して、お金で担保するというビジネスを展開していました。しかし、テクノロジーの急激な進化やSNSの浸透などによって個人・消費者のITリテラシーが企業を超え、期待値が大幅に高くなったなどにより、人は保険会社のストーリーではなくて自分で必要な保険商品を判断するようになりました。これがアジェンダの1つめです。

垣内

青木さんがおっしゃるように、これまで保険会社は統計情報に基づいて保険料を算出してきましたが、今では保険会社よりも個人の方が自分自身のリスクについて詳しく認識している時代になりました。例えば私自身を例に挙げれば、妊娠してすぐにDNA検査を行ったところ、遺伝子の異常がないか、性別はといったことが早期の段階にもかかわらず99%の確率で判明しました。同じ原理で、自分がいつ癌を発症するかということも、少額で調べられるわけです。

青木

2つめのアジェンダは、少子高齢化、労働人口の減少等によって、保険のマーケット全体が縮小していることです。例えば自動車そのものが減っているだけでなく、自動運転技術によって事故の件数そのものが減っている点も見逃せません。こうした傾向は今後も続くでしょうから、“見えるリスク”はさらに減っていくと思われます。従来型の保険ビジネスが縮小していく中、持続的成長を促すためにどのような手を打っていくべきかという点は、大きな経営課題になっています。

その一方で、保険会社に課せられる社会的期待値はどんどん上がっていくでしょう。これが3つめのアジェンダです。新型コロナウイルス感染症や気候変動は新たなリスクにつながる不確実要素ですし、自動運転などの新しいテクノロジーもリスクの一つと捉えることができます。これらに対して保険会社には、人々のQOL(=Quality of Life:生活の質)を上げるような役割が求められています。新型コロナウイルスによって職を失ったり収入が激減した人が増えているにもかかわらず、国には経済的支援を行う余裕がありませんから、代わりに保険会社に対する期待が高まっているのです。

このように現在の保険会社は、社会のQOL向上への貢献という責務を果たしつつ、同時に自らの利益向上も実現しなければならないという局面に直面しているわけです。私たちコンサルティングファームとしては、その中で新しいチャレンジを通じてどのようにシフトチェンジを促していくか、といった取り組みが求められています。これまでに培った経験・スキル、過去のビジネスモデルでは対応できなくなっている今こそ、コンサルティングファームならではのバリューを発揮しなくてはなりません。

James

そもそも保険とは、EYのパーパス「 Building a better working world (=より良い社会の構築を目指して)」に非常に密接に関わる存在です。リスクに直面しながら生きている人々にとって、生活の安定を根本から支えてくれるのが保険だからです。

しかし世界は今やとても複雑化しており、従来のリスクに対応する従来の保険では十分対応できなくなっています。新しいリスクに対応する新商品を保険会社が出せないということ自体、大きなリスクとなっているのです。例えば我々が直面しているプライバシーの問題は、新しいリスクの一つでしょう。我々には、保険会社がそうしたリスクに対応できるように支援していくことが求められているのです。新しく出現したリスクを、いかにしてより近代的で基本的なリスクにトランスファーしていくが、今後のキーになってくると思います。

では、金融セクターには何が求められているのでしょうか。

青木

ここ数年で異業種から保険業界への参入障壁がかなり低くなったという現実があります。例えば運転データをIoTの活用によって遠隔でモニタリングするなど、テクノロジーやSNSを活用することで自動車事故のリスクが測れるようになりました。従来型の営業活動や広告展開に頼らなくても、新しいプレイヤーが保険業界に参入できるわけです。実際、マーケットプレースを持っている大手IT企業が銀行・保険ビジネスを展開したり、 米国の大手電気自動車会社は自社でつくった自動車を自社の保険でカバーするということが、現実に起きているのです。次の保険のディスラプションは保険業界でなく異業種で起きるとさえいわれています。
顧客のエクスペリエンスのオーナシップをとる業種・企業、あらゆる顧客データを入手して分析できる業種・企業が業顔を超えて保険ビジネスを占有していくという風にも考えられます。

当然、既存の保険会社はこれまで想定していなかった競争に直面することになり、まさに戦国時代に突入したといっていいでしょう。 こうした逆風を乗り越えていくには新しいスキルや支援が必要ですから、私たちにとっては非常に大きなビジネスチャンスとなります。

Walter

当然、保険会社は金融業界の一員ですから、レギュレーション(規制)の影響から逃れられません。そのレギュレーション自体が時代の変革に追いついていないという事実は確かにあります。
私たちEYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(EYSC)はリスクのビジネスを得意としているという点が強みですから、こうした新しい枠組みの中で新しい環境を整えていくことに取り組まなくてはならないと感じています。

James

超高齢化が進む日本では、60歳以上の国民全員に医療費や定収入を提供することはできません。これは本当に深刻な課題といえます。だからこそ金融セクターのソリューションが、人々が自らの意思で退職後に備えるということと同じほど、重要になってくるのです。
青木さんがおっしゃったように、保険会社以外の人が保険を提供・販売できるようになったことも忘れてはなりません。これが保険会社と社会にとって何を意味するか、正しく理解することが重要です。今後、保険会社は、これまでとはまったく異なる立ち位置へとシフトしていくかもしれません。

垣内

保険会社がこれからどんなビジネスをすればいいのかといったことは、業界全体の非常に大きなテーマですね。

青木

今後保険会社は、新しいリスク、新しい事業、あるいは東南アジアやアフリカなどの新興国といった新しい市場に収益を求めていかなくてはなりません。同時に既存のビジネスの収益維持も求められます。さらにこれまでは営業職員や代理店による対面型のセールスがビジネスの中心であったために、デジタル化が遅れていたのも事実です。もし、今のコロナ禍の状況が今後も続くとしたら、その面での改革も必須でしょう。
こうしたさまざまな課題に対してどのように優先順位をつけ、どうリソースを割り振っていくかということが、重要な経営課題になっていくと思います。私たちにはそうした支援を担うことが求められており、非常に大きなやりがいがあるといえるでしょう。

金融セクターの仕事を通じて、EYが実現したいBuilding a better working worldとは何でしょうか。

青木

東日本大震災やリーマンショックと今回のコロナ禍との大きな違いは、“感染を止めるために、自ら経済活動も止めなければならない”ということだと思います。これは私たちにとって未曾有のできごとですから、まだ立ち直れてはいません。
コロナ禍のような不確定のリスクがまだまだ潜んでいる中で、保険会社にはそうしたリスクをいち早く見つけ出し、リスク回避の対策を講じつつ、万一の際は素早く保険金を支払うということが求められているわけです。
つまり日本を、世界でもQOLの最も高い健康長寿国にしていくことが保険会社の役割であり、それを手伝うことがBuilding a better working worldの実現につながっていくのではないでしょうか。

James

保険というのは、複雑な世界での生活の中における不確実性を減らすためにあると思います。それは個人に限った話ではなく、例えば飛行機やスペースシャトルにしても保険なしでは飛び立つことができないわけです。もちろんリスクはそれぞれの立場によって千差万別です。だからこそ根本的により良い世界を目指す上で、その容易さゆえに最も適しているのが、保険なのだと思います。

垣内

これから人々の生き方はさらに多様化していくと思います。まさしくD&I(=Diversity and Inclusion)の時代ですね。保険会社として、人々や企業が自由な選択できることををサポートしつつ公平性を保ってリスクトランスファーするのは簡単ではないです。個人情報をどこまで開示するかも考え方は人それぞれだと思います。
そうした難しさを乗り越えて、多様な生き方やビジネスなどをサポートする仕組みを構築することが、EYらしいBuilding a better working worldでしょう。

どんな人にEYSCにきてもらいたいですか。

Walter

形のないものをつくっていく際、勇気とパッションをもち、想像力を働かせつつも、現実との折り合いを付けられる方がいいですね。その点で私がこだわるのは、Cross Teamingです。
金融セクターは、コンサルティングだけで成立しているのではありません。例えば税務面から考えたビジネスの落としどころはTaxに支援してもらい、Transactionから考えたビジネスをStrategy and Transactionsに支援してもらう必要があります。Assuranceも含め、EY Japanの4サービスラインの総合力を引き出せる人が良いと思います。

青木

Walterさんのおっしゃるとおり、金融セクターでは4サービスラインとの協業が重要ですね。自分の知見と他のサービスラインの知見を合わせてクライアントに貢献する姿勢が求められます。

James

青木さんと垣内さんの2人のクローンが入社してくれればベストですね(笑)。

青木

現在の日本の保険業界、特に生保業界では、外資系企業が比較的大きなシェアを取っています。海外のインバウンドのポーションが最も大きいのが、保険業界なのです。一方で日本の保険会社には、東南アジアや南米、アフリカなどの新興国にどんどん進出することが求められています。その際、各国で異なる規制や税制などに対応する必要がありますが、私たちはグローバルでクライアントを支援することができるのです。一方でヨーロッパの保険会社の歴史は古いですから、そうした知見を日本の保険会社に提供すると大変喜ばれます。
つまり、グローバルな舞台でキャリアを積み上げていきたいと考えている方にとって、金融セクターのチームはとてもフィットすると思います。

垣内

自分のExpertiseと他の人のExpertiseをコラボレーションしてクライアントの課題に多面的に向き合うことも重要です。実際、青木さんは日本の中でのビッグプレイヤーのExpertiseを、WalterさんJamesさんは日本以外のExpertiseをそれぞれ持ち寄ってくれ、私はそのHybridで仕事に取り組んでいます。言語の違いは障壁ではありません。そんなふうにCross borderの連携を楽しめる方に来ていただきたいですね。

青木

保険のビジネスモデルは非常にニッチですから、インダストリーナレッジを身につけてエキスパートになりたいという方には向いているのではないでしょうか。一見すると商品自体は面白くなさそうですが、実は深く見ていくと非常にワクワクする、ダイナミックな業界だと思います。グローバルな知見に加え、専門的なナレッジを深めたい方には、ぜひお勧めしたいですね。

James

グローバルな考え方が重要なのはもちろんですが、一方でクリエイティブな考え方も不可欠だと思います。業界の慣習や過去の事情にとらわれず、ディスラプションを起こせる人がいいと思います。
保険会社にも、今後はより若く、よりクリエイティブな人たちが集まってくるでしょう。私たちも同様に、若くてクリエイティブな人材を金融セクターに求めていく必要があります。

垣内

私のプロジェクトは非常にダイバーシティに富んでいて、介護や育児と仕事を両立させている人、産休から復職したばかりの人などが活躍しています。ワークライフバランスとは短期間に実現できるものではなく、長期的な視点で取り組んでいくべきものだと思いますが、保険業界にはこうした考え方に共鳴してくださる方が多いように感じます。これも金融セクターで仕事をする魅力の一つでしょう。

ありがとうございました。