テクノロジー・ストラテジー&トランスフォーメーション
Technology Strategy & Transformation
腎機能低下リスク分析(医療データ×AI)
日本は他国に類を見ない速度で高齢化が進んでおり、相関して社会保障費も増え続けており、社会保障費を構成する医療費についても、2009年から2019年にかけて約24%増加しています。
特に、近年においては、高齢化が進む中で生活習慣と社会環境の変化に伴う糖尿病患者数の増加が課題となっています。医療費の内訳を見ると、総医療費に対する生活習慣病10大疾病は約13%となっており、その内訳として、糖尿病・人工透析が過半数を占める勢いとなっています(2019年時点)。
糖尿病は放置すると網膜症・腎症・神経障害などの合併症を引き起こしますが、その中でも糖尿病性腎症については、重症化し腎不全に陥ることで人工透析を要する状態となり、患者の幸せを奪い、医療経済的にも社会的にも大きな負担となります。そのため、国・地方自治体では、糖尿病性腎症重症化予防プログラムを改定・強化し、生活習慣病の重症化予防事業を展開しているところです。
これらの事業への支援として、私たちは2020年より健診・医療・介護に関する公的データベースシステムのビッグデータを用いた機械学習モデルによる人工透析ハイリスク者の予測と地方自治体への還元支援を行っています。
EYの体制とそれぞれの役割
本課題への取り組みはEYがパーパス(存在意義)として掲げている、Building a better working world (より良い社会の構築を目指して)とコラボレーションカルチャーのもと、テクノロジー・ストラテジー&トランスフォーメーション(TST)とデータサイエンス(DS;AI等の高度分析を専門とするチーム)が手を取り合い、それぞれの専門性を提供することで、単一チームでは成しえなかった社会課題の解決へ取り組んでいる事例です。
TSTは2010年より本領域の支援を手掛けており、法・診療報酬制度、審査支払業務や保健事業業務、当システムのデータ、医療ビッグデータにおける今後の活用の可能性と方向性に精通しており、法整備をはじめ、地方自治体への還元支援までの長い道のりを総合的に支援しています。
DSは高度なAI・機械学習モデル構築、分析に精通しているだけでなく、医学的知見に基づく学習モデルの妥当性検証・評価を彼らの有するチャネルによって招聘(しょうへい)された医学有識アドバイザーによって実施しました。 EYらしいコラボレーションによりクライアント実務とアカデミックな観点を両立させたことで、実運用に耐えるモデル(日次業務・月次業務等)の構築を実現し、高品質なご支援を提供することができています。
クライアントに提供したEYならではの価値
本支援は、医療データの取り扱いに関する法律について、当初はデータ分析目的で利用することに対し厳しい制約があったものを、クライアントとともに法改正の働きかけを行い、実現した改正法に基づいて取り組みを開始したものです。
社会課題の解決のために、テクノロジーの枠を超えて他チームとコラボレーションし、取り組めることは責任をもって遂行するテクノロジー・ストラテジー&トランスフォーメーションチームです。