EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(EYSC)

Data Driven Re-Design Strategy(DDR)/地方創生DXStrategic Impactイニシアティブインタビュー 04

コンサルファーム自らプラットフォームをもつことで、
地方創生DXを加速する

ディレクター平林 知高

マネージャー細田 裕佳子

データ活用ビジネスの戦略立案・エコシステム形成をミッションに掲げるData Driven Re-Design Strategy(DDR)チーム。平林ディレクターと細田マネージャーが「地方創生DX」イニシアティブを語ります。

データ収集・利活用に必要なプラットフォームシステムを自らもつことで、地域でのデータ利活用の意思決定と実行をスピーディに支援する

初めに地方創生DXイニシアティブについて教えてください。

平林

地方創生DX (デジタルトランスフォーメーション) は、データ利活用によって地域を活性化する活動です。

これまでのコンサルティングは、地域それぞれの課題に対して「こんなデータの利活用で地域を活性化できます」と提案しても、仕組みの導入にはそれなりの費用がかかるため、実際の取り組みへとつなげるのは容易ではありませんでした。

そこでコンサルファームが自らデータ収集・利活用の仕組みをもち、機能提供することで、自治体がスピーディに意思決定することを可能にしました。

コンサルティングファームでありながら、プラットフォームシステムを構築し、提供しているということですか。

平林

この領域で自らリスクを取り、システムを開発・運用しているファームはほとんどないと思います。まだ売上が立つかもわからないわけですから。

まさに社会的インパクトや意義を重視して活動するEYならではといえます。

今回は第一弾として観光をテーマにし、観光のためのデータを蓄積。利活用可能なプラットフォームを構築しています。

こうしたユニークな活動をする上で、大切なことはなんでしょうか。

平林

一言でいうと「理想とリアリティのバランス」です。観光については、地域の協議会のような各地域事情をよく知る団体や旅行事業者と密に連携しています。これによって具体的な観光施策とは何か、地に足のついた議論をすることのできるチーム体制を整えています。

また当然のことながら、経済産業省や観光庁と連携して日本全体での課題や観光に関するトレンドを捉えています。必要に応じて、国に政策提言も実施しています。

理想論に偏らず、直近の事情にとらわれた近視眼的な考え方にもならず、バランスの取れた観光戦略を助言できることが重要です。このような戦略的支援から具体策検討まで、幅広く支援できるファームは我々だけだと思います。

北海道地方創生DXと全国の観光地をつなぎ、横断的な観光力強化を目指す

現在はどの地域に取り組んでいるのですか。

平林

今は北海道の釧路エリアで観光分野の取り組みを進めています。観光客はその都市だけを訪れるのではなく、その周辺も含めたエリアを中心に観光します。従って釧路市だけで観光を考えるのではなく、周辺の7町村も含めた釧路地域全体で関係機関等と調整を重ね、広域で取り組んでいます。

北海道の大地は広大で、車での移動がメインです。そこで北海道全域に整備されている「道の駅」とも連携しながら、観光地をつないでいくことを進めています。

細田

釧路エリア8市町村ではチャットボットを活用し、観光客が必要としている情報を会話形式で提供しています。これにより観光客のニーズや行動傾向を把握し、地域でのマーケティング、観光施策立案に活用する取り組みにつなげています。

チャットボットは観光客等エンドユーザーの「知りたいこと」に自動で回答するため、いかに的確に答えられるかが重要視されがちです。

しかし「答えられなかった質問」を記録できることが、実は大きなメリットだと考えています。「答えられなかった質問」とは、観光客の知りたいと思っているけれども地域が用意できていなかった情報、つまり地域が把握できていなかった観光客のニーズであり、新しいサービス創出のもとになるからです。

地道で泥臭い努力をいとわない人こそが、エコシステム形成や社会プラットフォーム構築に求められる

どんな人とチームを組んで働きたいですか?

平林

「社会課題を解決したい」という方はたくさんいますが、実際に課題を発見して解決していくためには、地道なコミュニケーションを積み重ねて課題解決の糸口を探したり、一緒に活動する仲間を集めたりする必要があります。

各地域の文化や特有の考え方があって今の状態があるので、そうした背景を知らずに理想を語りに行っても門前払いされるだけです。

細田

コミュニケーション能力に加えて、理想の実現に向けて強い思いを持って取り組むことが必要だと考えています。同時にさまざまな立場のニーズや見え方を理解した上で、俯瞰的に全体を捉えて考えることのできる人が求められます。

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