EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(EYSC)

外部顧問紹介
Advisors Message

クライアントニーズへの対応を強化していくため、2021年6月18日付で元 日本航空株式会社 常勤監査役の鈴鹿靖史氏、並びに7月1日付で椎名茂氏が外部顧問に就任

外部顧問
元 日本航空株式会社 常勤監査役
鈴鹿 靖史 氏

外部顧問
椎名 茂 氏

EYへ応募される皆様に向けたテクノロジーコンサルティングの両顧問からメッセージをご覧ください

グローバルな人脈が広がったSAP導入プロジェクト

外部顧問鈴鹿 靖史 氏

EYストラテジー・アンド・コンサルティング(以下EYSC)は2021年6月、元日本航空(JAL)常勤監査役の鈴鹿靖史氏を外部顧問に迎えました。日本航空整備企画室部長時代に航空機の整備管理業務へのSAP導入プロジェクトをけん引し、SAPユーザー会「ジャパンSAPユーザーグループ(JSUG)」の会長として、多くの企業経営者とデジタル技術の活用に取り組んできた鈴鹿氏に、SAPの魅力や同プロジェクトを通じて得た財産についてうかがいました。

SAP導入の陣頭指揮、メンバーと見守った稼働の朝

JAL整備部門のSAP導入プロジェクトは当時、「世界最大級のプロジェクト」と言われていました。やりがいだけでなく、ご苦労も多かったのではないでしょうか。

鈴鹿

そうですね。世界の主要な航空会社が整備管理業務にSAPを導入し始め、JALでも2000年頃にプロジェクトが立ち上がりました。ところが、プロジェクトは難航し稼働の目処が立たなかったため、2003年秋にそのプロジェクトは解散しました。
しかしながら、やはりSAPを導入すべきだという声が根強く、2004年春にプロジェクトが再開されることになり、私がプロジェクトマネージャーに指名されたのです。ITに全く詳しくない私は、SAPとプロジェクトの進め方の勉強から始めなければなりませんでした。
ノウハウのあるコンサルタントが日本に少なかったため、まず、航空機の整備管理業務にSAPを導入した経験のあるコンサルタントを海外から集めることにしました。また、英国航空、シンガポール航空、ニュージーランド航空など既に整備にSAPを導入している航空会社を何度も訪問し、プロジェクトメンバーとともに、SAPをどのように使っているのかを理解していきました。一度失敗したプロジェクトだったので、本社で必要性を理解してもらい、予算の承認を取得するまでが本当に大変でした。

大勢の労力を投入したシステムが2008年11月に稼働したときには、感無量だったでしょう。

鈴鹿

プロジェクトは最大時には、JAL100名、IBM300名、インドのオフショア100名の体制で、「世界最大級のプロジェクト」と言われていました。システムが止まると飛行機が飛べなくなるクリティカルシステムなので、稼働の時は本当に体が震えました。11月8日早朝、メンバーと一緒に整備工場の屋上から、手を振りながら始発便を見送ったとき、全員の目に涙があふれていました。プロジェクトメンバー全員がまさに一体化した瞬間でしたね。

嬉しかった稲盛元会長からの評価

基幹システムであるSAPの導入は、最初の数年本当に大変で我慢の時期です。しかし稼働するとその良さが見えてくる。稼働までの苦労を共有しているから、プロジェクトメンバーとの関係がずっと続きますよね。

鈴鹿

その通りです。JALはその後経営破たんし、再建のために稲盛和夫氏が会長に就任されたのですが、部門別採算制度を導入する際、整備部門はSAPによってリアルタイムのデータが入手できていたので、いち早く制度を導入することが出来ました。稲盛氏に、「整備はいいシステムを使っているね」と言われて、本当に嬉しかったですね。
また、当時のプロジェクトメンバーのうち2人が現在EYに在籍していて、私が顧問に就任したことを知り、声をかけていただきました。これもSAPで得られたご縁だと感じました。

SAPは1990年代から2000年代にブームが来て、日本でも3,000近い企業が導入しました。多くの企業が現在利用しているバージョンが間もなく保守期限を迎えるため、システムの更新需要が高まっています。

鈴鹿

2000年当時はERPが乱立していましたが、日本では2000年前後からSAP(R/3)を導入する企業が相次ぎました。私がJSUG会長を務めていた頃(2015~2019年)は、導入後10年以上経った企業が多かったのですが、「導入してSAPを知れば知るほどよくできたシステムだということが分かってくる」とおっしゃる方が多かったです。

私も1998年にSAPコンサルタントになり、製品の良さはもちろんのこと、SAPを通じたつながりの強さに魅力を感じています。例えば世界中のパートナー企業が年に1度集まって、世界最先端の技術を学ぶイベントがあり、グローバルなネットワークが自然に広がっていきます。

鈴鹿

私もSAPを通じて人とのつながりが広がりました。JAL時代のプロジェクトでは世界各国からメンバーが集まり、その付き合いは今も続いています。
また、SAPのユーザー会は世界の40か国・地域にあり、私は日本のユーザー会であるJSUGの常任理事、会長、相談役を7年務めました。JSUGは約580社のユーザー企業、約80社のパートナー企業が参加し、個人会員は約8,100人の規模になっています。SAPのユーザー会は、ユーザー企業自らが企画運営し、SAPは支援する立場に徹しています。ユーザー会での議論は真にユーザーの声であり、生の意見を聞くことができるので、多くのユーザー企業が集まってくるのです。悩み事や質問をぶつけられる仲間が多くいるということは非常に大きなSAPの利点だと思います。
SAPのユーザー企業の皆さんと一緒に企業のDXを推進し、その企業の未来を創造する仕事は素晴らしいものだと思います。また、SAPは日本のほとんどの大企業が導入していますし、中堅企業も導入を進めているので、ある企業でのSAP導入に関わればその業界全体にも貢献できることになります。

多様性尊重しながら言うべきことは言う

EYは採用を強化し、SAPだけでなく幅広いテクノロジーコンサルティングを展開していく計画です。鈴鹿さんには今後、若いEYに多方面からご助言いただくことになりますが、20~30代のキャリア形成についてアドバイスをお願いします。

鈴鹿

私が小学校5年生のとき、地元松山でYS-11の航空機墜落事故が起き、多数の犠牲者が出ました。その時、飛行機事故というのはなんと恐ろしいものだろう、空の事故を無くしたいと思い、大学で航空学科に進みJALに入社しました。どんな仕事もおろそかにすれば安全が脅かされます。だから、「どんな仕事も誠実に真剣に取り組む」という姿勢を忘れないように、心がけてきました。
JALで最初に配属されたのは整備の現場です。工業高校や専門学校から来られた皆さんは極めて優秀で、同じ整備作業をしても大卒で4歳年上の私よりもはるかに早く正確でした。整備作業では歯が立たず、私にできることは何かないかと必死で考え、英語の雑誌「Aviation Week」の中から皆さんの興味のありそうな記事を訳して紹介したり、「鳥人間コンテスト」への参加によって皆さんとの一体感を高めたり、自分にしかできないことを何でもやることに努めました。
飛行機の整備はチームワークが大事なので、周りの皆さんとの良いコミュニケーションを築き、いろんなバックグラウンドの人がいる中で、それぞれの得意な面を出せるような雰囲気づくりにも注力しました。
その後の整備技術時代、シアトルの技術駐在時代も、一番年下だったのですが、心がけていたのは、「若くても言うべきことは言う」という気持ちと「先輩の言葉を尊重する」ということでした。何事も言いやすい雰囲気というか、そういう職場づくりに努めてきました。

EYも多様なバッググラウンドを持つメンバーが、それぞれを尊重しあいながら、風通しのよい関係をつくることを目指しています。

鈴鹿

EYは、多様性に満ちていますね。だからこそ、互いの個性を尊重しながら、その知識や経験を活かせば、素晴らしい総合力が発揮されると思います。今後会社が大きく伸びていく中で、皆さんの活躍の場はますます広がっていくことと思います。EYは、皆さんの能力を発揮できる場を提供できる会社ですので、失敗を恐れず、やりたいことにどんどんチャレンジしていけば、きっと夢が実現できるのではないでしょうか。

研究者、コンサルタント。多様な経験から見えたテクノロジーコンサルティングの未来像

外部顧問椎名 茂 氏

EYストラテジー・アンド・コンサルティング(以下EYSC)は2021年7月椎名茂氏を外部顧問に迎えました。人工知能(AI)の研究者から30代前半でコンサルタントに転身し、テクノロジーによる企業変革を推進してきた椎名氏に、これまでのキャリアやDXの潮流の中でテクノロジーコンサルティングが目指すべき方向性などをうかがいました。

ブロックチェーンの可能性に惹かれキャリアチェンジ

椎名さんは、グローバル展開する大手コンサルティングファームの日本での経営に携わってこられました。順風満帆のコンサルタント人生を歩んできたように見えますが、2020年に退任しキャリアチェンジされました。何がきっかけだったのでしょうか?

椎名

ブロックチェーン技術を使って面白いことをしたいと思ったことが発端です。同技術の応用として既に暗号資産(いわゆる仮想通貨)やNFT(非代替性トークン)が発行されており、共同CEOを務めたDEAではWeb3.0テクノロジーを駆使したゲームのリリースや、ゲーム向けのNFTの発行、NFTを取引するマーケットプレイスを運営しています。デジタル空間で生活できる、いわゆるメタバースに近いものを目指していますね。
ただ、暗号資産もNFTも投機性が高いためコンサルティングファームの多くは距離を置いていますが、私自身は非常に興味をもったので、コンサルティングファームから離れる道を選びました。

インターネットが情報のプラットフォームなのに対し、ブロックチェーンは価値交換のプラットフォームになると期待されています。しかし、元々AIの研究者だった椎名さんは、なぜブロックチェーンに興味を持ったのですか。

椎名

私は米国の大学院でAIを学び、日本電気(NEC)に就職して中央研究所でAIを研究していました。当時、スタンフォード大学からデビッド・ファイロという学生がインターンに来たことがあり、それから数年後、ファイロはジェリー・ヤンと「Yahoo!」を創業しました。机を並べて働いていた若者が新しいビジネスを創造し、世界を変えていくのを目の当たりにしたのです。インターネットが出始めた頃、私もCDのECサイトを作れば面白いなあと考えたことがありますが、それを実際にやって大きくなったのがアマゾンです。
2010年にAIブームが来た時は、研究者としてAIの可能性だけでなく難しさも知っていたから心が躍らなかったのですが、ブロックチェーンが出てきたとき、これはインターネットのパラダイムシフトが起きると感じました。実際に今ではWeb3.0と言われるようになってきています。この技術を使えばもしかしたらYahoo!やアマゾンのようにプラットフォーム企業を作れるかもしれないと、ワクワクしました。

コンサルティングファームからベンチャーに転じ、環境や考え方は変わりましたか。

椎名

見ての通り、まずスーツを着なくなりました。スーツを着ないと髪型も段々固めなくなりました。
ベンチャーはプロダクトやサービスをつくって、マーケティングをして、評価を受け、改善して……。できるか分からなくても新しい発想を出し、やり続けなければいけません。コンサルタント時代に比べるとスピード感は断然あります。会社が小さいから、意思疎通しやすいということもあるのでしょうけど。

30代で大きなプロジェクト回す醍醐味

コンサルタントになる前のこともお聞かせください。椎名さんは大学院を卒業したあとNECの中央研究所に就職しましたが、どんな研究をしていたのでしょうか

椎名

人工知能(AI)の研究を行う部門に配属され、主にAIで社会実装を考える研究を行っていました。私の専門は「計画型AI」と言い、学校の時間割や電車のダイヤなど、人間がやるとかなり労力がかかる作業の自動化を目指していました。
計画型AIの実装分野を模索する中で、有望市場だと目を付けたのが製造業の生産計画です。企業ニーズに合ったシステムを開発するために、さまざまな工場を訪問し理解を深めました。しかしそこで、壁にぶつかったのです。
生産計画を一生懸命作っても、そのベースにある販売計画がしっかりしていないと意味がなく、販売計画が頻繁に変わる企業では、工場側もそれを見越して適当に生産計画を作っていました。それで企業側に「生産計画を自動化するなら販売計画の策定から見直さないと」と提案すると、「その辺の改革はコンサルタントに任せているから、あなたはシステムをつくっていればいいんだ」というようなことを言われて……。

なるほど。それがコンサルティング業界との接点になったのですね。

椎名

システムを表面的に入れても業務改革の効果は薄く、根本的なところを見直さないといけないのですが、立場を変えないとそこに関われない。そう考えてコンサルティング業界に転職しました。当時入った会社では、どんなサービスを作って、何を売るかを考えるというゼロから始めなければならず、これは後々自分にとって大きな財産になりました。当時若手だった私がサプライチェーンの専門家として大企業の社長や副社長と毎週ミーティングをしていました。大変でしたが、大きなプロジェクトを自分で回す面白さ、醍醐味を味わいました。

「コンサルタント像」は多様であるべき

今のEYSCもそのフェーズで、当時の椎名さんのように20代、30代でもプロジェクトの前線に立てます。ところで、EYSCのテクノロジーコンサルティングはIoTやブロックチェーン、AIなど最新技術に力を入れている一方、スピード感があり小回りの利くベンチャーが競合になることがあります。デジタル技術を使ったコンサルティングを行うにあたって、どういう勝負の仕方をするべきだと考えますか。

椎名

コンサルティング会社がプログラムを書くとかではなく、デジタル技術をどう使うか全体の戦略シナリオを考えたうえで、その技術を持っているベンチャーを使うことを提案するべきでしょう。
ベンチャーはエッジの利いた技術をスピード感をもって開発するのが得意ですが、未成熟な部分も多く、クライアントが直接使うのはリスクがあります。コンサルティング会社は間に入って、ベンチャーを育てるくらいの感じがちょうどよいのでは。

研究者、コンサルタント、経営者と3つの立場を経験した椎名さんから見て、コンサルタントに向いているのはどんな人でしょうか。

椎名

よく言われるのが「人付き合いが嫌いではなく、コミュニケーション能力が高い」「自分の要素技術・スキルを持っている」「粘り強い」、この3つですよね。
ただ、コンサルティング会社はコンサルタントの画一的なイメージを持つべきでないと思います。
ベンチャーと比較して感じるのは、コンサルティングは大枠では数十年変わっていない、安定した、枯れたビジネスモデルということです。会社がある程度大きくなった後も成長を続けるためには、多様性が必要です。新しいビジネスはほとんどが掛け算であり、なるだけ違うものを入れないと化学反応が起きません。
新卒採用でもコンサルティング業界を目指す学生が、「コンサルタントとはこうあるべき」というイメージを共有しすぎると、多様性が失われ、違う人間を排除する組織になる恐れもあります。新卒段階から色々な人材を入れないといけない。先ほどコンサルタントに向いている人として3つのポイントを挙げましたが、人付き合いが得意でなくても際立ったスキルがあれば活躍の場はあるでしょうし。採用する方も応募する方も、固定概念にとらわれるべきではないと思います。
常に新しい発想を求めそれを展開していく、そのためにいろんなスキルをもった人々と自由に化学反応を起こしながらビジネスを進めていく、EYSCがそのような場になるようお手伝いできればと考えています。