金融サービスセクター紹介

「社会平和」と「Long-term value」を日本の金融業界から実現するために

金融 コンサルティングリーダー パートナー青木 計憲

金融 コンサルティングリーダー パートナー佐々木 惠美子

メガトレンドの急速な変化により競争が激化する金融業界で、コンサルティングファームの果たすべき役割とは何なのか。目指す方向と必要とされる人材について、二人のリーダーが語り合いました。

金融業界の課題やトレンドについて、どう見ていますか?

青木

これから変化していく環境を考える上で、今までのビジネスモデルを続けていくと経営の持続的成長ができないというのが第一にあります。FinTechやInsTechのさらなる台頭、人工知能(AI)やIOTなどのテクノロジー技術の進化、スマホ・SNSの普及、新型コロナウイルス感染症の影響による消費者のニューノーマルへの価値観の移行、大手プラットフォーマーへの顧客のオナーシップのシフトなどにより、異業種の参入障壁も低くなりました。

金融機関は今までのバリューチェーンを全て所有していたモデルから、エコシステムを前提にした新しビジネモデルにシフトしないと2030年以降生き残れなくなってきています。また、新興国への進出や新しい新規事業のたちあげなどによる新しい収益エンジンをいかにつくれるかも生き残りの大きなテーマでしょう。

銀行に関して、特に法人向け融資以外の機能は、FinTech企業やAIに代替されるため、銀行そのものの必要性の低下は明白です。今後、世界中の既存の銀行において、新たなイノベーションを起こせない場合はその92%が10年以内に消滅するといわれています。たとえば、既にスマホで銀行口座を経由せずとも電子マネーでのキャッシュレス決済が可能になり、消費者にとっての銀行口座の必要性が薄れてきています。また、銀行窓口や受付業務、データ入力などの業務は、テクノロジーの発達ならびにAIの発展により代替が進んでいます。これらのことから、今や銀行の競合は既存の銀行や保険会社だけではなく、大手プラットフォーマーも含まれるようになりました。

保険もIns Techの台頭に加えて、高齢化社会、シェアリングエコノミー、コロナ禍による日常の購買行動の変化や人生に対する価値観の変化など、外部環境を要因として、提供している商品とその販売チャネルのポートフォリオの見直しが必須となってきています。さらに、データの取得と分析をいかに効果的に利用するかが、商品・販売チャネルの差別化となってきており、今までと違うスキルセットを持つ人材確保も大きなテーマになってきています。

佐々木

先行きの見通しをたてるのが難しい中で、経営体力とリスクテイクのバランスを確保していかなければなりません。財務の健全性を維持しつつ、持続可能な社会の実現に向け、付加価値の高い金融サービスを提供していくことが期待されています。なので、より本質的でかつ、フォワードルッキングなリスクの把握も必要になっています。

金融機関のCxOの方たちとお話するたびに感じることは、悩まれている事柄の領域が広範であること。これは時代の流れが速く複雑になっていることの現れです。そこは私たちが寄り添ってサポートすべきだと考えています。

青木

金融機関を取り巻く環境は厳しくなっています。5年先、10年先を見据えて新しいビジネスモデルを作らないと、事業がシュリンクしてしまいます。またその中で、金融機関の存在意義も変わっていきます。自社の利益を持続的に成長させるだけではなく、長期的な視点から社会インフラとしてのミッションを期待される金融機関に寄り添い支援することは、EYの掲げる長期的価値(Long-term value)にもつながります。

金融サービスが考えるBuilding a better working world(より良い社会の構築を目指して)とは何でしょうか?

青木

Building a better working worldに基づき、人々や企業が、人生設計や事業戦略において多様な選択ができる「社会平和」を実現すること。それを実現することが、まず金融サービスのパーパス(存在意義)としてあります。

個社のビジネスを支援するだけではなく、その先でその金融機関が社会貢献できるようになり、みんなが幸せな人生選択ができるようになる社会をつくる。人々のQOL(Quality of Life:生活の質)を上げるところまで考えるのが、EYの金融サービスが目指している「社会平和」です。

佐々木

そこを見失うと、クライアントが抱える目の前の課題解決だけにとどまってしまいます。もちろん、業務効率化や収益向上という課題の解決は重要です。ただ、私たちはパーパスの軸を持って、クライアントと話す中でも「本当にそうなのか?」というクエスチョンを投げかけ、より良い提案を考えます。金融機関や私たちの便益に閉じることなく、金融機関の先にいるサービスを受ける人・社会の幸せにもつながるところまで考えるというのが、私と青木さんが今、目指しているところです。

青木

Diversity and Inclusivenessとよく耳にするようになりましたが、多様な社会では「幸せ」は必ずしも一つではなくなります。その中で金融機関の大きなミッションは、それぞれの人や企業が、らしい選択ができる多様な選択肢をつくることです。

銀行であれば、社会貢献できる人材育成に融資したり、これから日本を支えることになるスタートアップに融資したり、そういった必要な場所にお金を回すことでしょう。保険であれば、事故や病気の予防です。従来の「備える」機能に加え、「予防する」機能も求められています。

佐々木

金融機関によって目指すところや観点はすべて違いますよね。そういう意味では、EYは多様な専門性を持つメンバーが集まっている組織なので、そこは強みです。戦略の専門家もいれば、その戦略のためにビジネスをどう変えるかをコンサルティングする人もいる。ほかにも金融リスクの専門家や、実装を支援するテクノロジーの知識を持ったメンバーもいます。

戦略から実装まで提供するとなると、その特定分野に強いメンバーが集まり、チームで課題をカバーしていきます。いろんな意見を持つ専門家がつながり、クライアントに寄り添って話を聞くことが大事ですよね。

青木

顧客にとってのバリューを見直し「銀行(または保険会社)は何のために存在するのか」を一緒に考えること。それはFinTechにより新しいサービスが台頭し、市場が変化する中では必要不可欠です。

従来の銀行の本業、保険の本業だけでは、日本の中だけでは厳しい。これから人口やGDPが伸びる東南アジア、アフリカ、南米などに進出する選択肢もあります。その点、私たちにはグローバルのネットワークがあり、そこで築いた知見があります。

佐々木

EYは約150カ国にネットワークを有しているのですが、その中でも金融サービスはAsia-Pacific(アジア・パシフィック)とワンチームになり、さらに連携が深まっています。私と青木さんは毎週のようにミーティングで情報交換をしていますし、もちろんリーダーだけでなくスタッフも、メールやチャットで親密なやり取りをしています。実際にチームでコラボレーションしているプロジェクトも多いですね。

グローバルが海外の金融機関との対話で蓄積した知見を活かし、いち早くクライアントの課題解決に役立てていく。それをできるのがEYの良さだと思います。

青木

変化する環境の中では、クライアントごとにさまざまな選択肢が想定されます。明確な解はまだ誰もわからない状況だけに、そこは私たちも腕の見せどころといったところでしょうか。何らかの対策をしなければ取り残されてしまう中、どういう方向を目指すべきかを、いちばんに導くことができるファームになりたいというのが、今、思っているところですね。

では、どんな人にEYSCに来てもらいたいですか?

青木

ひとつは、私たちのパーパスに賛同できる人です。個々の企業の成長だけでなく、その先の社会貢献につながる成長であることを前提に、支援をしていく。そのためにEYで働きたいという人ですね。

佐々木

それは大前提ですよね。あと、情熱を持っている人かな。世の中の役に立ちたいとか、自分の力を試したいとか、何でもいいんです。思いを実現したいという情熱がある人にパーパスに共感してもらえると、大きな力になりますし、私たちはその人の情熱をかたちにしていく場を提供できると考えています。

金融機関を取り巻く環境も世の中のルールも、この先もっと変わっていくと思います。そこでクライアントと伴走する時、「こうあるべきだ、だからこうしていきたい」という思いは、やはりすごく大事だと思います。

青木

金融機関に期待される新たなミッションも踏まえて考えると、そこでフォーカスされるのは、戦略部分に特化したコンサルティングです。

金融機関は「装置産業」と言われ、オペレーションはシステムに依存するところが大きい。当然システムへの投資額も大きくなります。だからそこに注力し、システムの規模やテクノロジーで大きくしようというのが一般的な発想です。

でもEYは、システムにだけ比重を置くのではなく、インダストリーに特化した戦略を描ける組織でありたいと思っています。もちろん戦略を実行するにはシステムも必要なので、オールラウンドであることは確かです。ただ、システムの規模で戦う前に、5年後、10年後の新しい金融機関の在り方や新しいビジネスモデル、個社の勝ち方などを誘導できるよう、戦略コンサルタントとしてあくまで「上流」を狙う姿勢です。

そういう意味では、コンサルタントでも金融機関の経営企画でも、金融機関に対するビジネス戦略や商品戦略、オペレーション戦略などに関わってきた人は力を発揮できると思います。

佐々木

今の状況の中で、クライアントがビジネスをどう変えていくのか。その答えは一つではないし、単純なものでもありません。業界の環境や規制の状況、テクノロジーの特長や動向などをよく理解している私たちが、クライアントにとってのベストを探って提案し、伴走しながら一緒に何かを作り上げていく。それをチームでやっていきたいですね。

チームのメンバーが持つ強み・武器はいろいろあっていいと思うんです。自分の得意とする領域でプロジェクトに関わり、同じゴールに向かっていく。そういうチームビルディングを目指しています。だから出る杭はまったく打ちません。むしろ出ないとわからないから、思いを表現してほしいですね。

フラットな組織なので若い人も活躍できますし、また、尖った人たちの集団なのでコラボレーションすることでスキルも高まります。それが各人の成長につながってくという意味でも、EYはすごく面白い組織だと思います。

青木

コンサルティングファームの競合の中では、EYはまだまだトップランナーではありません。質・量ともに高めていくジャーニーが必要です。そういう意味ではベンチャー的な気質があり、成熟している競合よりもチャレンジングです。その船に一緒に乗りたい人、それを築いていく喜びを共有したいという人に、ぜひ来てほしいですね。