EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(EYSC)

 
2022.07.19
コンサルタントが変える未来

EYのデジタル戦略とガバナンスでDXが導く企業改革

シニアマネージャー 西村

「2025年の崖」──このままでは年間最大12兆円の経済損失を生むと経産省が危機感を募らせる日本企業のDXの実状が、いよいよ待ったなしのゾーンに入ろうとしています。約7割の企業がDXの「足かせ」だと感じる旧態依然のレガシーシステムを脱却し、円滑にデジタル戦略を進めるにはどうしたらいいのでしょう。「顧客にとっての新たな価値創出」こそを目的とするDXの本質に立ち返り、小さな課題の解決から成功体験を積み上げていく、地に足のついた改革プロセスの組み立てが求められています。

9割が「まったく進んでいない」日本企業のDX

──DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉はすっかり定着した感がありますが、実はあまり進んでいないとする見方もあります。どのような現状なのでしょう。

経済産業省が2020年12月に「DXレポート2(デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会の中間報告書)」というのを発表しています。それによると、DX推進に関する自己診断に応じた約500社のうち、実に95%の企業がDXにまったく取り組んでいないか、散発的な実施にとどまっていることが明らかになったといいます。その水面下には診断結果を提出していない膨大な数の企業が存在するわけで、報告書では「日本企業のDXへの取り組みはまったく不十分なレベル」だと断じています。

DXの本質はトランスフォーメーション、すなわち変革を起こすことであって、単なるIT化やデジタル化とは一線を画すものであるはずです。短く定義するなら、「デジタル技術を用いて顧客視点での新たな価値創出を行うこと」と言えるでしょう。新しいサービスやビジネスモデルの創出、顧客接点の改革、あるいは企業文化や組織のあり方まで変えること、その先にある強大な成長力と競争力の獲得。そういったことを、デジタルの力を借りて実現することが、DXです。

しかしながら実際には、AIやIoTといった先端技術を導入することそれ自体がDXであるかのように受け取られている節もあり、経営者の意識改革も課題とされています。経産省は2018年9月に出した最初の「DXレポート」で、各企業でDXに向けた課題解決が進まない場合、「2025年以降、最大で1年に12兆円の経済損失が生じる可能性がある」と警鐘を鳴らしましたが、その真意はうまく伝わらなかったようです。

2年後の「DXレポート2」に掲載された分析結果を見ると、自社のデジタル化に関する取り組み状況を「トップランナー」と自負する企業が約4割に上るにもかかわらず、「現在のビジネスモデルの継続」を前提とする企業が大半を占めています。「変革」の必要性に対する認識は、依然として希薄なのかもしれません。

DXを推し進めるためのデジタル戦略は、自社のシステムをどのように進化させるかというIT化の方針とは異なります。デジタル技術によって目に見える大きな変化を引き起こし、そこに顧客にとっての新たな価値を生み出すこと。そのための経営戦略であると考えるべきでしょう。

足かせとなる「遺産」を取り除き、意識改革を

──DXの本質に対する認識に温度差があるとしても、どの企業もデジタル化は不可欠だと考えているように思えます。ではなぜ、取り組みはなかなか進まないのでしょう。

1つには、日本の大手企業全般にいえることかもしれませんが、既存の仕組み、例えば基幹システムであったり業務プロセスであったりするものがしっかりと構築されていて、それを使って業務を効率化し、一定の成果を上げてきたという事情が関係しているのだと思います。すでに定着しているその仕組みを、根本から見直して変革を起こすということに、そもそもの難しさがあるのですね。部門ごとに異なるシステムが確立していて、全社横断的なデータの利活用が困難ということもあるでしょう。経年の開発により、システムが複雑化して変えづらい、といった事情もあるかもしれません。

このような老朽化、肥大化、複雑化、ブラックボックス化した仕組みを称して、経産省は「レガシーシステム」と呼び、DX推進の足かせ要因になっていると分析しています。日本企業の発展を支えてきたかつての強みが、かえってブレーキになってしまう。そうした場合、経営陣がデジタル化を叫んでも、現場の動きが鈍くなるケースがあります。

また、既存のシステムを使って問題なく業務が回り、業績も上がっているという場合、なぜ現状を変えなければならないのか、経営陣に納得してもらうのが難しいケースも考えられます。経営トップにITの素養が乏しい場合はなおさらでしょう。世界的に見ても、経営トップや役員たちが十分なデジタルリテラシーを備えている企業は多くないのです。

──そうしますと、経営トップの啓発や意識改革が重要になりますね。

そうですね。経営トップの意識改革がトリガーとなって取り組みが進むということは十分に考えられます。そもそもDXは、先ほども触れたように経営戦略に直結します。自分たちが持つケイパビリティをどのようにして次のビジネスに生かすか、そのためにどんな戦略を打ち立てるか。そうした議論なくしてデジタル戦略は成り立ちません。であれば当然、トップ自身がその陣頭指揮に立ち、リーダーシップを発揮する必要がありますね。

ところが、デジタル戦略に対する経営者の課題意識が希薄である場合、社員からの直談判で考えを変えてもらうというのは現実には難しいことです。また、社員のほうも、IT系の部門は往々にして、会社が決めた方針に沿ってシステムづくりをするのが常道でしょうから、経営にかかわる戦略を練ったり立ち上げたりというのは敷居の高い話です。両者のその溝を埋める存在として、我々コンサルタントが役に立てるのではないかと考えています。

笑顔の西村の画像

小さく始めて大きく育てるEY流DX実現プロセス

──具体的にはどのようにして、クライアントのDXを実現させていくのでしょうか。

DXの目的や道筋、達成すべき目標は企業によって千差万別で、こうでなければならないという王道はありません。ビジネスを一新する何か強烈なインパクトを編み出せないかと気負ってみても、そうした妙案が一足飛びに生まれることはあまりないでしょう。

まずは手始めに、自分たちの普段のビジネスや業務オペレーションにデジタル技術を導入してみる、それでもいいと思います。確かに本質からは少し外れます。トランスフォーメーションというよりデジタライゼーションかもしれません。ですが、身近なところから始めてみて、小さな成功体験を積み重ね、次第に大きな取り組みへと段階的に発展させていく、そういうやり方は有効です。そのほうがスピード感も生まれますね。

最初は局所的にデジタル技術を適用し、業務の効率化やデータの蓄積を進めていく。次にビジネスプロセス全体にデジタル化を施し、迅速な意思決定を実現したり、蓄積したデータをもとに既存の製品やサービスの付加価値を高めたりする。そうした経験を重ねる過程で、新しい発見や、ちょっとしたインサイトが得られるかもしれません。そこを突き詰めながら、顧客接点のデジタル化へと駒を進めていきます。

ただし、無計画に進めていいということではありません。大切なことは、自社にとってデジタル化の意味は何なのか、何を目指して、どんな順序で何を進めていくのか、その定義とプロセスについて最初に議論を尽くし、明確にしておくということです。

──そのサポートを提供するにあたって、EYの強みはどこにありますか。

私の所属するチームではデジタルガバナンスといって、DXを推進するための仕組みづくりやコントロールの部分をご支援するのが主な役割です。実現プロセスの組み立てですね。ガバナンスというと、何か管理・統制的な守りのイメージがあるかもしれませんが、我々の場合は企業価値創出のための、「攻め」のガバナンスが基本スタンスです。

その前提として、全社的な戦略立案や経営陣の意思統一などが必要となりますが、この部分の支援はまたそれを専門とする別のチームが担い、互いに連携しながら話を進めていく体制が整っています。上流から下流まで、つまり戦略から実行までトータルでサポートを提供するわけです。技術面を支援するチームや、リスクに関するチームとのコラボレーションも重要なポイントです。

他のファームでも網羅的なサービスを行うところはあります。ただ、最近の傾向として、より大きな利益が望める川下部分、IT系の強化にシフトする流れにあるように見られます。EYではその逆、DXの根っことなるデジタル戦略に力を入れることで、全体としての調和と軸足の強さを重視するのが特長であり、それがEYだからこそのアドバンテージになっていると感じます。

──コンサルタントの仕事に関心を持つ読者へのメッセージをお願いします。

よくいわれることですが、日本のEYはまだ成長段階にあるコンサルファームです。それだけに責任もプレッシャーもありますが、自分の裁量でどんどん世界を広げていける面白さや、わくわく感にあふれています。自分の成長とともに会社も成長する。それだけでなく、DXという新しい領域の開拓を通じて日本社会の成長にも立ち会えるかもしれない。こういう醍醐味を味わえる時期は今しかありません。一緒に未来をつくりましょう。

参考リンク:

デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」
デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会の中間報告書「DXレポート2(中間取りまとめ)」

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