EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(EYSC)

 
2022.08.23
コンサルタントが変える未来

モビリティ・エコシステム──複合ビジネス型まちづくり構想

シニアマネージャー 宮崎

自動運転やシェアリングなどを駆使してモビリティのあり方を変えていくCASE戦略。移動の仕組みから付加価値サービスを生み出すMaaS事業。それらの先に見えてくるのは、モビリティと多種多様なサービスの組み合わせで地域の課題に向き合い、持続可能な都市への転換を促す新しい「まちづくり」の姿です。Beyond CASE、Beyond MaaS──異業種コラボレーションを仕掛けるコンサルタントのたゆまぬ挑戦が結実しつつあります。

次世代モビリティが体現する「まちづくり」の世界

──自動車業界は「100年に一度の変革期」といわれていますが、どのような変化が起きているのでしょうか。

持続可能な社会を実現するために、自動車業界としても何か行動を起こしたい、変わらなければ生き残れない、そんな問題意識を背景とする大きなうねりのような動きが起きています。それを象徴する言葉で「CASE」というのをご存知ですか? 「コネクテッド(Connected)」「自動運転(Autonomous)」「シェアリング&サービス(Shared & Services)」「電動化(Electric)」の頭文字を取ったもので、自動車業界を取り巻く新たな潮流を表しています。もとは2016年にメルセデス・ベンツを擁するダイムラー社が中長期戦略の柱として発表したのが始まりですが、今では業界全体に浸透しています。

ただ、CASEはあくまでも、自動車が進化していくための手段にすぎません。これらの要素を合わせて進展させていくと、自動車を製造して販売するだけではもう事足りず、移動することそれ自体をサービスとして提供する動きへとつながります。それが「MaaS(Mobility as a Service)」といわれる概念です。国土交通省の定義によると、鉄道やバスやタクシーといった、いろいろな交通手段を1つにつなぎ、検索や予約、料金の支払いが一括で行えるサービスを指しますが、最近ではそうした利便性にとどまらない幅広い展開を見せてきています。

例えば、都市交通の混雑解消や物流コストの低減、高齢者の外出促進といった効果も考えられます。そうなると、企業単体や1つの業界だけの話ではなく、行政だけの問題でもない、民間事業者と自治体、市民といった多様なプレイヤー同士の連携が欠かせなくなってきます。そして、それらがWin-Win-Winの関係で結ばれる。企業がその地域で新たなモビリティサービスを運用し、市民の移動性が確保され、健康増進やQOL向上などに役立つことで、付加価値が生まれて地域が活性化するといった具合に。ある種のエコシステムが形成されるわけですね。

──それはもう、まちづくりに近い発想ですね?

まさに、そのとおりなんです。MaaSはスマートシティを構築するための大きな柱となる概念だと思ってください。もう少し具体的にお話ししましょう。少子高齢化で地域の過疎化が進み、お年寄りの外出を支える家族が減ったり、運手免許を返納したりして、移動の手段を公共交通に頼らざるを得なくなるのと裏腹に、交通機関は収入不足で衰退し、高齢者が外出する機会は減っていきます。すると、健康が損なわれて医療費・介護費にも影響が及び、自治体の財政を圧迫する。これが、地域社会が抱える典型的な課題の1つですね。

それを解決してまちの持続可能性を高めるためにどうするか。まず、自動運転やAIによる配車システムなど、さまざまな技術や知見を持つ企業が手を組んで、MaaSによる移動サービスを展開する。企業はここですぐに収益が出なくてもいいように、他で稼げる仕組みをつくっておくことがポイントです。クラウドファンディングやふるさと納税などの外部資金を加味してもいいですね。それらをテコに住民の外出を促進し、健康寿命を延ばして医療費を抑え、浮いた費用を公共交通の財源に回すというように、好循環に転換する。

簡単にいえばそんな筋書きですが、要は「モビリティ×医療・介護費」を起点とするまちづくりの一例です。すなわち、モビリティの未来=まちづくり。我々EYのモビリティコンサルティング・チームが思い描く姿はそこにあります。

インタビュー中の宮崎の画像

異業種コラボで複合型サービスを創出する

──自動車産業の役割は大きく変わってきているのですね。それを支援するコンサルタントの役割も変化していますか。

そうですね。そもそもモビリティというのは、自動車産業だけの話ではありません。私が所属するセクター(Advanced Manufacturing&Mobility)のモビリティチームも、クライアントの大半が自動車関連ではない組織となっています。総合商社や電機メーカー、医療施設、行政機関など、移動サービスを利用する側も含めて何らかの形でまちづくりにかかわるプレイヤーの集まりです。だからこそ、我々が連携を後押しすることができるのですね。

交通事業を公費で賄うことが一般化している諸外国とは異なり、日本の公共交通は民営事業を中心に運営され、なおかつ交通運賃は低くあるべきという社会通念が根づいています。したがって、企業にとって移動サービスだけを収益源とすることは難しく、私鉄事業者は商業施設や不動産などの沿線開発によるビジネスモデルを確立してきました。今、MaaS事業をテコにまちづくりを進めるには、そこからさらに踏み込み、地域特有の課題解決につながるような、輸送以外の事業と組み合わせた複合型サービスの構築が有効であると、我々は考えています。異業種間の連携が必要となるのはそのためです。

それもこれまでのように1対1のコラボではなく、サービスを提供する主体がn数いて、それにお金を払う側もn数いるような、「n対n」のビジネスモデルをどう築くかが課題です。我々コンサルタントの役割は多様なプレイヤーに参画していただくことですが、もちろん個々の事業者の収益源も見据える必要がありますから、それも含めて全体戦略を構想し、1つひとつ話を持ちかけて具体策を詰めていくことになります。いわば壮大なまちづくり実証事業といった様相で、そこで得られる膨大なデータなり知見なりを活用して、他事業や別の市場でマネタイズするといった事業プランも検討します。先ほどの「他で稼げる仕組み」とはそういうことです。

──そうした動き方というのはEYならではの強みと考えてよろしいでしょうか。

地域課題の解決という共通の目標に向かって多種多様なプレイヤーの利害を調整し、実効性のある仕組みとして社会に実装させていく。こうしたやり方はいかにもEYらしいといえると思います。というのも、EYでは世界共通のパーパス(存在意義)として「Building a better working world〜より良い社会の構築を目指して〜」を定めていて、個々の顧客企業の経営課題を解きほぐした先に誰もがハッピーでいられる最適な世界があるという、こういう理念を体現する取り組みに他ならないからです。それにはある程度の時間を要しますが、他の多くのコンサルティングファームに見られるような短期的利益の追求に陥ることなく、どこまでもクライアントに伴走しながら長期的価値の確立に力を尽くせるという醍醐味もあります。私自身、そこに惹かれて他社ファームからEYストラテジー・アンド・コンサルティングへの転職を決めました。

縦横無尽の専門力と人材力で社会課題に立ち向かう

──宮崎さんのチームにはどのようなメンバーがいるのでしょう?

若い人が多いですね。20代後半から30代前半のメンバーが中心で、バックグラウンドはさまざまです。自動車メーカーの出身者もいれば、航空機のサプライヤーから来た人もいますし、物流事業者や、私のように他のコンサルティングファームからの転職者もいます。国籍もまちまちですよ。

私の場合、先ほど申し上げたパーパス(Building a better working world)と長期的価値の追求というEYの根幹の部分に加えて、業界全体の、あるいは業種をまたいだ戦略や事業構想にかかわれるという、上流系の仕事が相対的に多いことにも惹かれてここに来ました。その点に共感を覚えて集まってくる人が多い印象ですね。社会づくりをしたい、こういう世界をつくりたいという自分なりの構想を持って応募してくるケースが目立ちますし、面接でもその部分は重視していると思います。

パーパスとの関連でいうと、「EY Ripples」という社会貢献活動の枠組みがあることもEYの特色です。これを活用して、例えば小中学生を対象に脱炭素社会や公共交通のあり方に関する教育セミナーを開催したり、モビリティと地域活性化の関係について地域住民の方々と対話を交わす場を設けたりといった活動も行っています。そうした現場重視の地道な取り組みに魅力を感じたという方も多くいます。

──では今後、どのような方と一緒に働いていきたいですか。

私の望んでいることは2つあります。まず、人物像としては自分の意見を持てる人。お客様からの問いや社会の問題に対して、自分なりの答えとなる仮説をきちんと組み立てられること、これはコンサルタントとしての基本的な資質だと思います。特にEYでは、申し上げてきたように長い目線を必要とする答えの出にくい課題と向き合う案件が増えていて、仮説がなければ方向づけをすることも、検証することもできません。

もう1つは、多彩な背景を持つ人たちが織りなす多様性に満ちた環境。モビリティの専門チームではありますが、専門性に縛りはありません。医療や宇宙、行政、法律など、どんな分野を学んできた人にも活躍のチャンスはあると思います。すでにそうなっていますが、もっともっと多様性を加速していけたらいいですね。そのほうが面白い仮説が生まれ、魅力的な世界観を提示することができるでしょうから。その検証プロジェクトを、ともに進めていきましょう。

参考リンク:

日本版MaaSの推進(国土交通省)

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